親世代のためのデジタル遺産Q&A

親世代のためのデジタル遺産整理:使わないけど残しておきたいデータの整理と安全な保管方法

Tags: デジタル遺産, データ整理, データ保管, デジタル終活, 情報共有, 親世代

使わないけど残しておきたいデータの整理と安全な保管方法

デジタル遺産と聞くと、オンライン銀行口座や証券口座、有料サービスのアカウントなどを思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん、これらの金銭的な価値や契約に関わるデジタル資産の整理は非常に重要です。しかし、私たちのデジタル空間には、個人的な写真や動画、作成した文書ファイル、趣味の作品、大切な人とのメールのやり取りなど、金銭的な価値はないものの、故人の人となりを知る上で非常に貴重な「データ」も存在します。

これらのデータは、日頃はあまり見返すことがなくても、「いつか」「もしも」の時のために残しておきたい、家族に見てもらいたいと感じる大切なデジタル遺産の一部です。これらのデータが整理されずに散逸していたり、どこにあるか分からなくなっていたりすると、ご家族は故人の大切な記録に触れる機会を失い、データの山に途方に暮れてしまうかもしれません。

この記事では、使っていないけれども残しておきたい大切なデジタルデータをどのように整理し、ご家族が将来安全にアクセスできるよう保管しておくかについて、具体的な方法を解説いたします。

「使っていないけど残しておきたいデータ」とはどのようなものか

具体的にどのようなデータが「使っていないけど残しておきたいデータ」に該当する可能性があるか考えてみましょう。

これらのデータは、日々使うことは少ないかもしれませんが、故人の歩みや興味、大切な人々との絆を示す貴重な情報源となります。

使わないデータを整理・保管するためのステップ

使っていないデータを整理し、将来のために保管する作業は、以下のステップで進めることをおすすめします。

ステップ1:データを「発見」し「見える化」する

まずは、どのようなデータがどこに保存されているかを確認することから始めます。データは様々な場所に分散している可能性があります。

これらの場所を一つずつ確認し、「残しておきたいかもしれない」と思われるデータが存在するかを探してください。写真フォルダ、ドキュメントフォルダ、ダウンロードフォルダなど、よく使いそうなフォルダを中心に確認します。

ステップ2:データを「分類」し「選別」する

データが見つかったら、それらを分類し、残すものと削除するものを区別します。

選別作業は時間がかかる場合がありますが、一つ一つ確認することで、本当に大切なものだけを選び出すことができます。ファイル名が分かりにくい場合は、後から見て内容が想像しやすい名前に変更することも検討してください。

ステップ3:不要なデータを安全に削除する

選別によって不要と判断したデータは、安全に削除します。パソコンの場合、ゴミ箱に入れただけでは完全に消去されず、復元ツールなどで復活する可能性があります。完全に削除するには、ゴミ箱を空にするだけでなく、必要に応じてデータの完全削除ツールや、専門的な方法を用いることもありますが、通常のご家庭でのデジタル遺産整理においては、ゴミ箱を空にするだけでも多くの場合は十分です。

重要なのは、ご家族が将来パソコンを操作した際に、不要なデータに紛れて大切なデータが見つけにくくなることを防ぐことです。

ステップ4:大切なデータを安全な場所に保管する

整理・選別された残しておきたいデータは、将来ご家族がアクセスできるよう、安全な場所にまとめて保管します。いくつかの保管方法があります。

これらの保管場所は、一つに限定せず、複数の場所にバックアップを作成して保管しておく「分散保管」を検討することをおすすめします。例えば、外付けHDDに保存しつつ、特に重要なデータはクラウドストレージにも保管するなどです。これにより、どれか一つの保管場所が使えなくなっても、データが失われるリスクを減らせます。

ご家族への伝え方が重要です

どんなに丁寧にデータを整理し安全な場所に保管しても、ご家族が「どこに何が保管されているか」「どうすればアクセスできるか」を知らなければ意味がありません。

まとめ

使っていないけれども残しておきたいデジタルデータは、ご自身の人生の記録であり、ご家族にとっては故人を偲ぶ大切な手がかりとなり得ます。これらのデータを整理し、安全な場所に保管しておくことで、ご自身のデジタル遺産をより豊かに残すことができます。

データの発見、分類、選別、そして安全な保管とご家族への情報共有は、少し手間のかかる作業ですが、ご自身の安心と、将来のご家族の負担を大きく減らすことに繋がります。今回ご紹介したステップを参考に、ぜひ大切なデータの整理と保管に取り組んでみてください。